ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、4サイクルエンジン、2ストロークエンジンetc
○○エンジンって色々ありますよね!
「エンジンの違いが、いまいちわからない」
という方も多いと思います。
機関の勉強を始めた人は、この違いをしっかり分かっていると、勉強がスムーズに進むと思います。
また日常生活で、エンジンの違いについて知りたいと思った方は、とてもやさしく書いていますので、参考にしてください!
この記事でわかること
- エンジンの簡単な構造
- ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違い
- 4ストロークと2ストロークの違い
- 各エンジンのメリットデメリット
私は、独学で大型船の免許である海技士(機関)の1級を取得しました。このサイトでは、船乗りを目指す方を応援していますので、将来、海の業界で働きたい!という方は、このサイトをぜひ活用してください。
エンジンの仕組み
まず、簡単なエンジンの仕組みを見てみましょう。
アレルギー反応が出そうになった方!大丈夫です。簡単に説明します。
エンジンは、燃料を爆発させて、そのエネルギーを回転に変えます。
マツダの動画がとても分かりやすいので、まず見てみてください!
順番に解説していきます。
まず、シリンダとピストンがあります。そして、ピストンはクランクシャフト(クランク軸)につながっています。ピストンが上下することでクランク軸が回転するようになっています。
最初は、シリンダ内に新鮮な空気がいっぱいあります。
そして、ピストンが押し上げられると、密閉された空気が押しつぶされます。
空気が一瞬で押しつぶされると、空気は高温になります。
ここに、燃料が存在すると、空気の熱あるいは火花で爆発します。
爆発によって、いっきにピストンを押し下げます。
爆発が終わって、炎が排気ガスになると、それは外に出ていきます。
以上のような流れが繰り返されて、クランク軸を回転させて、タイヤであったり、船であればプロペラを回転させるのが、簡単なエンジンの仕組みです。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジン
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いは、2つ!
①使用燃料の違い
②爆発のさせ方(着火方式)の違い
です。それぞれ見ていきましょう
使用燃料の違い
これは知っている方も多いはずです。
ガソリンエンジンはガソリン。ディーゼルエンジンは軽油を使います。
船のエンジンは主にディーゼル機関です。そして船の場合は、車とは違い軽油の他に、重油が使われていたりします。重油にもいろいろ種類があるのですが、ここではどろどろの燃料と覚えておきましょう。
それぞれの燃料の特徴として、
ガソリンは、火がつきにくく
軽油は火がつきやすい
ということです。
もう少し詳しく言うと、ガソリンは自然発火温度が高いため、周りの温度が高くてもなかなか爆発せず、ディーゼル機関に使われる燃料は、自然発火温度が低いため周りの温度が高いと突然爆発します。
この違いが、次の着方式の違いにつながってくるんですね!
着火方式の違い
次に大きく異なるのは、この着火方式です。
ガソリンエンジン
電気着火方式で、燃料と空気の混ざり合った混合気に、スパーク(火花)を飛ばして爆発させます。
ディーゼルエンジン
シリンダで圧縮した空気(高温)の中に燃料を噴射することで、燃料が自然発火し爆発します。
つまり、ディーゼル機関では、火花を飛ばすためのプラグは全く必要ないんです!
4ストロークと2ストロークの違い
では、4ストロークと2ストロークとは一体何なのでしょうか。
これは、4サイクルエンジン、2サイクルエンジンとも言われ、ストロークとサイクルは全く同じ意味で使われています。
では詳しく見ていきましょう!
※内容はディーゼル機関です。
4ストローク
4ストロークエンジンは、エンジンのシリンダで1回爆発するのに4つのサイクルが必要な方式です
- 吸気
- 圧縮
- 爆発
- 排気
この4つで、1回の爆発が起こり、エンジンを動かします。
ポイントは、この4つのサイクルを行うために、エンジンのクランク軸(回転)は2回転しているということです。
1 吸気
まず、ピストンが一番上(上死点と言います)の状態から、下に下がることで、空気を吸い込みます。
※下に下がる力は、クランク軸の慣性力による回転力です。
そして、ピストンが一番下(下死点)まで来ると、空気の吸い込み口(吸気弁)が閉まって、シリンダは密閉された容器になります。
2 圧縮
次に圧縮が始まります。クランク軸が回転して、密閉されたシリンダが空気を押しつぶします。
圧縮された空気は高温になります。これで、今クランク軸は1回転が終了しました。
3 爆発
燃料の爆発が起こると、その爆発力で、ピストンが一気に押下げられます。この力でエンジンが回転するわけです。
4 排気
爆発によって下死点まで行けば、今度は排気が始まります。排気ガスの出口(排気弁)が開いて、ピストンが上に押し上げられることで、ガスを外に追い出します。
押し上げられて、排気が出ていきつつ、ピストンが上死点までくれば、2回転目が終了します。
そして、次は1吸気に戻るわけです。
このように4つのサイクルでエンジンが動くので、4サイクルエンジンあるいは4ストロークエンジンと呼ばれます。
2ストローク
2サイクル(ストローク)エンジンは、4サイクルと違い、2つのサイクルでエンジンを爆発させ回転させます。すなわち、
- 爆発
- 掃気(圧縮含む)
という2つです。
1 爆発
便宜的に爆発から見ていきます。爆発は4サイクルと同じで、燃料が爆発して、ピストンを押し下げます。
その後、ピストンが下死点まで行くと、掃気が始まります。
2 掃気
掃気は簡単にいうと、新鮮な空気を送り込んで排気ガスを追い出す作業です。
つまり、爆発が終了すると、ピストンが下死点の状態で、排気弁、吸気弁どちらも開きます。
そして、吸気弁側から新しい空気が送り込まれ、これに押される形で排気ガスが外に追い出されます。
4サイクルであれば、ピストンを押し上げて追い出していましたが、2サイクルでは空気を押し込むことで追い出しているんですね!
この結果、4サイクルでは2回に分けて行われていた、排気と吸気の工程が1回で行えます。
排気ガスの追い出しが終わると、吸気弁、排気弁どちらも閉まり、シリンダは密閉状態となって、圧縮が始まります。
そして、1爆発に戻るのです。
結果的に、クランク軸の回転1回転で、爆発が完了します。このようなエンジンを2サイクルエンジンといいます。
おわりに
4ストロークと2ストロークでは、2ストロークは1回転で1爆発できるので、同じ大きさのエンジンで比べると、その出力は2倍になります。
しかし、掃気という工程は、完璧に行うことが難しく、完璧に行えないので出力が低下してしまうのです。
そのため、この掃気効率を向上させるために、様々な掃気方式が開発され、現在ではユニフロー掃気という掃気方法が最も効率のいい掃気方法として採用されています。
しかしながら、ユニフロー掃気は設備が大掛かりになること、また掃気自体がシリンダが大きいほど、かつ、回転がゆっくりなほど効率が良くなるため、2サイクルエンジンの主流は、船舶用の大型エンジンなんです。
大きいエンジンだと2階建ての大きさだったりします!
エンジンの分野は本当に奥が深いので、これからもどんどん勉強してください!知識と知識の点がつながっていくのが海技士の勉強の醍醐味です。
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