2級~3級の海技士(機関)口述試験では、
 「潤滑油の油性について説明してください
と問題が出されることがあります。 

「油性は、油の性質です」
ん-、少し違います。。

 油性というのは、過酷な環境下(境界潤滑)における潤滑油の性能を表す指標になります。
つまり、「油性が高い」というのは、潤滑油として優れているということになります。

 この油性という言葉は、意外と説明が難しいですよね。
 説明するには、境界潤滑混合潤滑流体潤滑の3状態を理解しておかなければなりません。

 今回は、1級海技士(機関)監修のもと、
  ・潤滑油(LO)の3状態(境界・混合・流体潤滑)
  ・油性とは何か
を初心者にもわかりやすく解説します!
ぜひ、試験勉強に役立ててくださいね!

海技士王は、実際に一級海技士(機関)を取得した筆者によって、これから海技士の取得を目指す方々を応援し支援するサイトです。


潤滑油の潤滑3状態を理解しよう!

概要

潤滑3状態とは以下のとおりです。

  • 境界潤滑 
    ⇒ 金属同士が接触した潤滑油状態のこと。
      つまり、摩擦大部品が壊れる
  • 混合潤滑
    ⇒ 金属同士の接触が若干存在する。
      境界潤滑と流体潤滑の間の状態
  • 流体潤滑
    ⇒ 金属同士の接触がない潤滑状態。
      理想的な状態であり、回転数の変化に対して安定。
           

それぞれの状態において、金属と潤滑油は下のモデル図のような状態になります。
軸と軸受けの境界面を拡大していると想像してくださいね。
モデル図は、2つの金属が潤滑油(黄色)を挟むように接触しており、お互いが矢印の方向で擦れていると考えてください。

モデルからも感覚的に、流体潤滑が理想的な状態であることがわかりますよね。


摩擦特性曲線(ストライベック曲線)

潤滑3状態を、縦軸を摩擦係数、横軸をストライベック数と置くと以下のようなグラフが出来上がります。口述試験に挑む方は、外観を覚えて、ホワイトボードに描けるようにしておきましょう!
※ストライベック数については、後ほど説明します。(3級レベルでは問われないと思うので、横軸は速さ、回転数と覚えておきましょう!)

摩擦特性曲線のポイントは以下の通り!

  • グラフの上側が摩擦が大きいことを示す。
  • 境界潤滑状態が摩擦最大である。
  • 混合潤滑状態では、軸などの回転数(接触物のスピード)が大きくなるほど、摩擦が小さくなる。
    ⇒金属同士がどんどん接触しなくなるため。
  • 摩擦が最小を迎えると、流体潤滑状態が始まる。
  • 流体潤滑状態では、回転数が大きくなるほど、やや摩擦が大きくなる。
    ⇒潤滑油が高速で移動することにより、潤滑油と金属、潤滑油同士の摩擦が発生するため

ストライベック数とは

再掲になりますが、ストライベック数(S)は下記の式になります。

η ⇒ 粘度
V ⇒ 軸の速度(回転数)
P ⇒ 面圧(軸の重さによる圧力)

この式について考察すると、
面圧(P)は、軸の重さは動いていても変わらないので一定です。
粘度(η)は、潤滑油に帰属するので、温度が変化しない限り一定です。
つまり、
ストライベック数(S)が大きくなる(=グラフの右へ移動する)のは、速度(V)に依存することがわかります。

そのため、軸の回転数が大きくなるほど、潤滑状態が良好になり、流体潤滑になるわけです。

~さらに詳しく(1,2級レベル)~
ちなみに、流体潤滑状態では、回転数が早くなればなるほど、どんどん摩擦が大きくなるのかと言われると、そうとは限りません。
なぜなら、回転が速くなり、摩擦が増大すると、摩擦熱が発生します。
その結果、潤滑油の温度が上昇し、粘度が低下することで、ストライベック数は、大きくなったVと小さくなったηの掛け合わせで、概ね一定の場所で安定になるからです。

ここまでを、3級で問われることはないと思いますよ!
もちろん、ここまで言えると、試験管の印象はぐっと良くなると思います。


「油性」を説明できるようになろう!

油性の解答

油性は、油の粘性によらない性能のことを指し、金属表面に潤滑油が吸着し、その油膜を保持する能力のことです。特に境界潤滑状態では、摩擦の大きさは油の粘性ではなく、油性が支配的になります。油性が高い潤滑油は、油膜の保持力が高く、摩擦や焼き付きを防ぎます。

すこし、難解な説明ですが、ここまで読み進めている方なら大丈夫です。次で少し補足しますね。


解答の解説

金属同士の潤滑は、境界潤滑状態が一番過酷です。
それは、金属同士が直接当たってしまうからです。

こういった状況下(境界潤滑)では、いくら潤滑油が滑らかでも、そのヌルヌルは何の役割も果たしません。

境界潤滑のときに、機械の摩擦・摩耗・焼き付きを防ぐには、
少しでもいいので、表面が油でおおわれていること!です。
表面に油が付いて油膜を形成していれば、摩擦や衝撃を多少は吸収してくれるからです。

つまり、潤滑油において、この金属への吸着性及び油膜の保持力は非常に重要な性質で、これを油性と呼びます。


おわりに

今回の記事は、3級口述試験で問われる潤滑油の性質の一部を紹介しました。 
対策本を丸暗記するのは大変なので、可能な範囲で、理論の理解も進めていきましょう!

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以下の記事では、口述試験で問われる法規問題をまとめています。
必ず1問は出題され、満点がもらえやすいので、合格のために必ずマスターしたい問題になります。
ぜひ覗いてみてくださいね!

【1級海技士が伝授】海技士海技士試験口述の法規問題(過去問)

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