フェリーやクルーズ船に乗ったとき、
「これを運転している人は、どんな免許を持っているんだろう」
と考えたことはありますか?
船の免許は海技免状といいます。
これは国家資格で、海技士と呼ばれるものです。
この記事では、船の免許について詳しく解説しますね!
船の種類は、大きさで分けると2種類に大別されます。海運業界では船の大きさを総トン数という言葉で表すのですが、この総トン数が20トン未満の船舶を小型船舶、20トン以上の船舶を大型船舶としています。(国土交通省HP)
そして、船の免許は以下の表の通りになっています。
船の種類名 | 大きさ (総トン数) | 免許の名前 |
---|---|---|
小型船舶 | 20トン 未満 | 小型船舶操縦士免許 |
大型船舶 | 20トン 以上 | 海技士免許 |
この海技士免許(海技免状とも言われる)が大型船を運航するのに必要な資格です。
そして海技士には上から順番に1~6級までのランクがあります。
これは大型船の大きさやエンジンの大きさ、その航行区域で決まってきます。(くわしくは別の記事で!)
簡単に言えば、上位の海技士を持つほど、大きな船舶を運航できるようになるということです。大型船舶で働きたい!という方はこの海技士免許が必須になってきます。
海技士の取得方法
では海技士はどうすれば取得できるのでしょうか。
この記事を読んでいる方は、将来、大きな船で働きたいと考えている方もいると思います。
海技士免許(海技免状)を得るためには、海技士国家試験(筆記、身体検査、口述)に合格して、国土交通大臣が指定する免許講習の課程を修了する必要があります。
方法として2種類紹介します。
- 船会社に就職後、海技士試験を受験する。
- 登録船舶職員養成施設に入学する。
1については、船会社に就職したのちに船会社のカリキュラムに沿って海技士を取得していきます。当然、その過程において海技士国家試験の合格は必須です。
2については、全国にある船員の養成学校(登録船舶養成施設)に行き、勉強や実習を終わらせることで、海技士国家試験のうち、入学した養成施設のレベルに応じた海技士国家試験の筆記試験の免除を獲得するというものです。卒業後は就職して、乗船履歴を貯めて口述試験等を受け海技士を取得します。
基本的には、2のパターンを取ることが多いです。
ん?乗船…履歴…となりましたか? 次の章で解説します!
海技士試験の受験の流れ
海技士試験は、筆記試験、身体試験、口述試験の3種類から構成されています。
筆記試験はいつでも受験可能です。ただし、1級海技士を取得するためには2級、2級海技士を取得するためには3級海技士が必ず必要になるので、まだ何も海技士免許を持っていない人は、3級以下の海技士試験を受験する必要があります。
身体試験は口述試験の受験直前に実施されます。屈伸運動など基本的な動きができるかどうかというだけのものなので、特に対策はいりません。ただし、試験の申請については、指定の病院で検査を受けておかなければなりません。
口述試験は、試験官と対面で問題が出されて回答する試験です。これを受験するためには、受験する級の筆記試験と身体試験に合格していることが必須になります。さらに、一定の期間、船での勤務経験(乗船履歴)が必要になります。
乗船履歴
つまり、口述試験を受けるには、ある程度の船での経験を積まなければなりません。
船会社に就職している人は、その会社の船に乗船することで、養成施設に入学した人は、その養成施設の練習船などで乗船履歴をためることができます。
必要な乗船履歴の期間や条件は、海技士の級ごとに異なりますので、別の記事で紹介します。
おわりに
洋上風力発電や深海のレアメタル、メタンハイドレートなど、海の世界はまだまだ広がっていきます。
そんな海で働いてみたいという方は、ぜひ海技士の取得を目指してください!
1級海技士を持つ筆者が、皆様の挑戦を応援します!!