電気は目に見えないので、理解するのが難しいですよね。
 交流電流ってちゃんと説明できるでしょうか?

 交流電流は、プラスとマイナスが交互に入れ替わる電流であり、1秒間に60回入れ替われば電流は、60ヘルツとなります。

 その他にも、電気分野には、フレミングの左手の法則、右ねじの法則、電磁誘導など、よくわからない法則がたくさんあります。
 この記事では、
 「あれ?どうだったっけ?」
となりやすい電気の知識を復習していきます。

この記事でわかること

  • 交流(AC)と直流(DC)の違い
  • 右ねじの法則
  • レンツの法則
  • 電磁誘導について
  • フレミングの左手の法則

海技士王は、実際に一級海技士(機関)を取得した筆者によって、これから海技士の取得を目指す方々を応援し支援するサイトです。

1.交流(AC)と直流(DC)の違い

【正解】 直流電流!

 冒頭でも述べたように、交流電流は「プラスとマイナスが交互に入れ替わる電流」です。そして、直流電流は「ずっとプラスのまま入れ替わらない電流」です。
 また、交流電流はACAlternating Current)、直流電流はDCDirect Current)とよく表記されます。

 グラフで見ると、次のようになります。

 直流電流の場合、電圧は時間が経過しても、ずっと同じ電圧です。(図だと12V)
 つまり、銅線に直流電流を流せば、常にプラスからマイナス方向へ電流は流れ続けます。
 ※電流の正体はマイナスの電子ですから、電子はマイナスからプラス(電流とは逆)に流れ続けます。
 

 交流電流の場合、電圧は、時間の経過と共にプラスとマイナスを行き来しながら変化します。
 つまり、銅線に交流電流を流せば、その銅線の中を電流が行ったり来たりしているのです。
 ちなみに、よく交流電流を扱うときは、周波数ヘルツ)という言葉を耳にしますが、これは1秒間に何回振動(+、-を行き来)しているかのことです。図の交流電流は、1秒間に、約3回、振動(行き来)しているので、周波数は、
  約3ヘルツ(単位:Hz)
となります。
 

2.電流と磁界の関係

 導線に電流が流れると、そこには磁界が生じます。要するに、磁力が発生します。
 この磁界(磁力)は、不規則ではなく、一定の規則に従って発生するので、ここではこれについて解説していきます。

※磁界→磁力の世界のことで、沢山の磁力線の塊(磁束)から形成されます。これら磁力線には向きがあります。(別名:磁場)


右ねじの法則

 右ねじの法則は、「電流の向きと磁界の発生」を表します。
 下記図を見るのが一番わかりやすいです。

 ネジは右(時計回り)に回すと、進んでいきます。
 電流と磁界の向きも同じような関係にあるのです。
 つまり、

右ねじの法則
   ネジの向き  =  電流の向き
  ネジの回転方向 = 磁界の回転方向

が成り立ちます。

 ここで言う磁界の回転方向というのは、磁力線の方向であり、下図のように磁石のN極とS極でも表せます。


レンツの法則

 レンツの法則は、コイルの法則であったり、右手のグーの法則と呼ばれることもあります。この法則は、銅線をバネのようにぐるぐるとしたコイルに、電流を流した時に生じる磁界の法則を表します。
 順番に解説していきますね!

①導線をコイル状に巻き、電流を流します。(下図参照)

②電流が流れると、導線上では、「右ねじの法則」により磁界が発生します。
 導線に発生する磁界を、コイル全体で見たときに下図のような大きな磁界が発生します。
 その結果、コイルは磁石のようになります。これがいわゆる電磁石です。

③この現象を簡易的に表すのが右手のグーです。
 右手を、グッジョブのように親指を立てた状態で握ります。
 このとき、指の握られる方向(爪方向の回転)がコイルの電気のながれる回転方向を表し、親指が磁界の方向(N極)の方向を表します。(下図参照)

レンツの法則
・コイルに電流を流した時に生じる磁界を表す法則である。
・右手のグーで表すことができる。

指の巻方向をコイルの電流としたとき、親指の方向が磁界のN極である。

3.電磁誘導について

 続いては、電磁誘導についてです。
 電磁誘導とは、金属に磁石を近づけたり、遠ざけたりすると電流が流れる現象のことを言います。
 ちなみに、電磁誘導により流れる電流のことを誘導電流といいます。

 では、どのように誘導電流が流れるのかを見ていきます。
 ポイントとなるのは、「全ての物質は変化を嫌がる」ということです。
 それでは、コイルのモデルを用いて考えていきましょう。

①コイルに、磁石(N極)を近づけます。

②コイルは、変化を嫌がるので磁石(N極)が近づいてくるのを拒絶します。
 コイルは拒絶するために、N極を作り出すことで、N極を反発させます。

③N極を作りだしたコイルは、図でいうと、右向きの磁界を作り出しています。
 これに、先ほどのレンツの法則を当てはめて、誘導電流の向きを考えてみましょう。

 右手のグーを当てはめると、電流は矢印の方向に流れます。
 ポイントとして、電流が流れるのは磁石が近づく動きをしている時だけということです。
 磁石が、コイルに近づいた後、動きを止めると誘導電流も止まります。

⑤次に、磁石が離れていくモデルで考えます。
 これも同じで、コイルは変化を嫌がるので、磁石に対して、「離れないで!」とアピールします。
 つまり、N極が離れていくとき、下図のようにコイルには電流が流れ、N極が離れるようS極を作り出します。

 このように、コイルに磁石が近づいたり離れたりすることで、誘導電流が行ったり来たりと流れるのです。

 ちなみに、今回のモデルでは、N極を近づけたり離したりしましたが、S極を近づけたり離したりした場合は、コイルにできる磁界の方向が逆になるので、電流もN極のときと逆向きに流れます。
 つまり、S極を近づけた場合は、コイルには反発するS極が形成され、S極を離した場合にはコイルにN局が形成されるのです。
 あくまでも、誘導電流が流れるのは、磁石が近づいたり離れたりの動作をしている間のみで、磁石が止まると誘導電流が止まるということも忘れずに覚えておきましょう!


4.フレミングの左手の法則について

 フレミングの左手の法則は、「電流が流れている導線が磁界の中にあるとき、力が発生する法則」を表したものです。
 この法則は、船舶の電動機(モーター)や、レールガンにも応用されています。
 下図のように、左手でフレミングの左手を作ると、
   電流の向き = 中指の向き
   磁界の向き = 人差指の向き
としたときに、導線には
   力の向き  = 親指の向き
という法則で力が発生します。

 では、U字磁石の中に、導線を置いて、電流を流した時のモデルを考えてみます。
 下図を見てみてください。

①磁界の方向はN→S極なので下向き
②電流は、奥から手前向き
 この条件で、左手でフレミングの形をあわせると、右向きに力が発生します。
 そして、導線はブランコのように右に動くのです

 このフレミングの左手の形と、どの指がどの向きかをしっかり覚えておいてくださいね!


5.おわりに

 いかがでしたでしょうか?
 今回の基礎知識は、電気の基本になるので、今後の勉強の参考にしてくださいね。
 このまま、発電機の仕組みも知りたい!という方は下記リンクを参照してください!

 上記リンク先の記事では、口述試験などで出題されるブラシレス交流発電機の仕組みについて、基礎から詳しく解説し、口述試験で適切に回答できるようになるまでの理解をサポートします。

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