この記事では、様々な単位について解説していきます。

現在、基本的にはSI単位系が使われているのですが、古い教科書だと、重力単位系がまだ使われていたりします。

そのため、海技士(機関)を勉強していく中で、単位の壁にぶつかってしまうのです。

この記事を読めば、必ず単位の申し子になれるはずです。

はじめに

(読み飛ばしてOK)

代表的な単位系に重力単位系SI単位系があります。

重力単位系は、

kgf kgw kg重 などです。

SI単位系は、

国際単位系とも言われ、s、m、kgなど、国際的に決められた基本単位を用いて、種々の単位を構成します。

SI基本的な単位

まず初めに、基本的な単位をおさらいしていきます。

m (meter)長さ (メートル)
 (second)時間 (秒)
kg (kilogram)質量(キログラム)
A (ampere)電流 (アンペア)
K (kelvin)温度 (ケルビン)
mol (mole)物質量 (モル)
cd (candela)光度 (カンデラ)

kgについてですが、日常に使っている重さもキログラムと言いますが、質量と重さは少し異なります。

質量は、物体に固有もので、無重力化でも変わりません。つまり、質量が60キログラムであれば、宇宙だろうが月の上だろうが60キログラムです。

重さは、重力環境下における指標なので、地球で重さ60キログラムなら、宇宙では重さ0キログラム、月面上では重さ10キログラムとなります。

重力単位系のkgw(kgfもほぼ同じ)というのは

重さ60kg = 60kgw(kgf)

ということなんです。

日常生活は地球上で送っていますので、ほぼ質量=重さとなり、区別する必要性が出てこないんですね。

単位の組立てについて

単位って色々ありますよね。

ニュートン(N)であったり、パスカル(Pa)だったり。

これらの単位は、基本的な単位で分化することができます。

これをマスターすると、計算問題などがとても簡単になります。

それでは、各分野ごとに単位を分解していきましょう。


質量を重量に

SI単位系では、重量の単位N(ニュートン)を使うと

重量 = 質量 × 重力加速度(”g”) 

なので、”g”は9.81(m/s²)なので、質量1kgの物体の重量は、

重量 = 1 × 9.81
   = 9,81 N

そして、重力単位系では、1kgfと表されるのです。つまり、

質量1kgの重量 = 9.81N= 1kgf

というわけです。普段、これは1キログラムの重さだよと言いているとき、正確に言えば、それは9.81N(ニュートン)なわけです。

では、N(ニュートン)を分解しましょう。

先ほどの式から

N = kg × m/s²【SI単位】

密度・比重など

密度(density)  記号 ρ(ロー)

密度は、SI単位系では1立方メートル当たりの質量で表される。

単位  kg/m³

【問題】

SI単位系の密度の単位(kg/m³)を重力単位系に変更してください。

【解答】
kg → kgf にする場合、fが追加(掛け算)されている。
fをkgに掛けているので、fを付け加えた後に、fの単位で割ってあげると良い。
そして、f=(m/s²)なので、
  kg=kgf÷(m/s²)
    =kgf・s²/m
        ※”・”は×の意味。
最終的に、 
 (kg/m³) =(kgf・s²/m)/m³
      =kgf・s²/m⁴

ポイントはfを入れるときはfの単位(m/s²)で割るということです。

これができたら、古い参考書でも簡単にSI単位系に変更することができます。


圧力

圧力(pressure)  記号 P

圧力は、SI単位系では単位面積(1m²)当たりの力の大きさで表される。

単位  N/m²  
    Pa(パスカル)

Pa(パスカル)は、1000倍したkPaや10⁶倍したMPa(メガパスカル)が使われることが多いです。

ちなみに、hPa(ヘクトパスカル)という単位は、100Paのことです。

1013hPaを1気圧とし、1atm(アトム)と言ったりもします。

機関室などに置かれている圧力計は、古い船だと重力単位系がまだ使われていたりします。

1気圧=0.1Mpa=1kgf/cm²(=760mmHg)

を覚えておきましょう。

~単位の分解~

1Pa = 1N/m² = 1(kg・m/s²)/m²
       = 1kg/(m・s²)
(重力単位) = 0.101kgf/m²
       = 0.0000101kgf/cm²

となる。ここで1気圧(大気圧)は、だいたい1013hPaであるため、

1013hPa= 1013×100Pa = 101300Pa
    = 0.1013Mpa
    =0.1013×10⁶×1.01×10⁻⁵kgf/cm²
    = 1.02kgf/cm²
となる。


エネルギ(熱量と仕事)

熱量と仕事は言葉は違いますが中身は同じエネルギです。

つまり単位も同じです。

エネルギ(energy)  記号 W , Q
単位  J(ジュール) 
    N・m

エネルギは全てJ(ジュール)で表されます。一般的にkJ(=1000J)が使われます。

そして、1J は

1Nの物体を1m動かすのに必要なエネルギ

と定義されます。

重力単位系では、kgf・mと表記されます。

そして、kcalという単位も熱の単位です。1kcalは1kgfの水を1度上昇させるのに必要な熱量と定義され、1kcal=4.19kJです。


仕事率(パワー・動力)

仕事率は、単位時間当たりにどれだけの仕事をするかであらわされます。

単位時間については、1秒であったり、1時間だったりします。

1秒の時 ワット

1時間の時 ワット時

仕事率(power)  記号 W
単位  W(ワット) 
    J/s
    Wh(ワット時)
    J/h ←1時間当たり

一般的には1000倍のkW(キロワット)が使われます。

重力単位系では、馬力が使われます。

単位はkgf・mです。

そして、メートル馬力である仏馬力(PS)が使われます。

機関の出力の表記でも、まだまだ仏馬力が使われています。

そのため以下の換算を覚えておいてくださいね。

 1PS = 0.7355kW

~単位の分解~

1PS = 75kgf・m/s
   = 75×9.8066…N・m/s
   = 7355N・m/s
= 0.7355kW

おわりに

いかがでしたでしょうか。単位の変換ができるようになると、機関士としてのレベルがぐっと上がるはずです。