実は、
蒸気タービンと言っても色々な形式があります!
蒸気タービン?という方はこちら
以下の通り!
蒸気タービンの種類
- 単式衝動タービン
- 速度複式衝動タービン
- 圧力・速度複式衝動タービン
- 圧力複式衝動タービン
- 軸流反動タービン
- 半径流反動タービン
重要なのは、
色々ありますが、海技士で取り扱う重要な形式は、
速度複式衝動タービン
軸流反動タービン
の2種類です。これから詳しく説明していきます。
この時点で、それぞれのタービンがどこに使われているかピンと来ている方はかなりレベルが高いですね!その調子です。
来ていない方も大丈夫!
私も、最初は全く分かりませんでしたから(笑)
速度複式衝動タービン
速度複式衝動タービンは、代表的なものとしてカーチスタービンというものがあります。
主に船舶では、後進用タービン、補機用タービンとして使われています。
※後進タービン→船を後進させる時だけに使う。
構造
最初のノズルは末広ノズル
その後、動翼と案内翼、動翼の順に蒸気は通過していきます。
この動翼たちは、1つの羽根に2列、あるいは3列埋め込まれた形をしています。
※ケーシングは車室ともいう
※案内翼は上記の流れを整える。
蒸気の流れ
カーチスタービンの場合
1.高温高圧の蒸気は末広ノズルで膨 張する。 |
2.蒸気は膨張することで、圧力が下がり、体積が大きくなるため、その分流れる速度が大きくなる。 |
3.そして、この高速な蒸気の速度エネルギを動翼が吸収する形で、羽根が回転する。 |
4.カーチスタービンの蒸気は、末広ノズルで臨界圧力以下まで膨張するが、それ以降の動翼、案内翼では圧力低下を伴う膨張はせず、動翼に吸収された速度エネルギを回復するために、蒸気自体の容積を大きくすることで流速を一定に保つ。 |
<イメージ> ノズルで蒸気のスピードを一気に上げて、風車に一気にあてる。 |
カーチスの特徴
羽根1つで、”段”といいます。そして、カーチスタービンの構造をした羽根をカーチス段といいます。
カーチスタービンの構造をした羽根をカーチス段といいます。
カーチス段の特徴は以下の通り
- 初段で圧力が大きく下がる(圧力降下が大きい)ので、後段での蒸気の圧力・温度が低くなり、設計上有利。(タービンの段数を少なくできるから)
- 初段で、蒸気の大部分のエネルギを使い切るので、小型化できる。
- 逆に、段数を増やすと、蒸気との摩擦損失により効率が低下する。
- 回転速度の調整方法(調速法)として、ノズル締切り調速、絞り調速どちらも可能。
軸流反動タービン
軸流反動タービンは、代表的なものとしてパーソンスタービンというものがあります。
船舶では、前進用のタービンとして使われています。
構造
ノズルはなく、ケーシング(車室)の内側に取り付けられた静翼と回転する動翼から成る。
この静翼が、ノズルの役割をする。
また、動翼は胴型翼車に直接埋め込まれている。
蒸気は、静翼、動翼、静翼、動翼と交互に通過していく。
蒸気の流れ
パーソンスタービンの場合
1.高温高圧の蒸気は静翼に入る |
2.静翼では蒸気が少しだけ膨張し、速度が増加。 |
3.速度が増加した蒸気の速度エネルギを動翼で吸収し、ロータが回転。 |
4.動翼は、出口部分の流路が絞られており、蒸気は動翼を出る際に、絞り効果により圧力が低下し、速度が再び上昇する。 |
5.動翼出口で蒸気が加速するため、このとき動翼は、蒸気の速度増加による反動力を得て、さらに回転する。 |
<イメージ> 動翼は、蒸気が当たることで風車のように回ると同時に、蒸気を噴射して回転が加速す。 |
パーソンスの特徴
パーソンス段の特徴は以下の通り
- ノズルが存在しない。
- 蒸気は初段から終段にかけて、段ごとに徐々に膨張する。
- そのため全体を1つのノズルとみることもでき、蒸気の流れが円滑である。
- 終段付近では、蒸気の比容積(大きさ)がとても大きくなるため、その分、翼の大きさを大きくするか、図のようにロータを太くしなければならない。
- 調速法としては、絞り調速のみであり、ノズル締切り調速は不可能である。
蒸気タービンのカタカナ名
海技士ではしばしば、先ほどの日本名ではなく開発者の名前が付けられたカタカナ名で問題が構成されていることがあります。
その名前を覚参考までに書いておきます。必要があれば暗記してください。
単式衝動タービン | デラバルタービン |
速度複式衝動タービン | カーチスタービン |
圧力・速度複式衝動タービン | ブラウン・カーチスタービン |
圧力複式衝動タービン | ラトータービン ツェリータービン |
軸流反動タービン | パーソンスタービン |
半径流反動タービン | ユングストロームタービン |
※赤字は海技士で重要
おわりに
今回は蒸気タービンの種類を紹介しました。最も重要な部分は
カーチスタービンは、一気に蒸気を消費できるので小型化でき、後進や補機用のタービンとして使われている。
パーソンスタービンは、徐々に蒸気を膨張させることで、滑らかな流れで効率がよく、前進用のタービンに使用される。
ということです。
さて、紹介したタービンの名前、
○○衝動タービン
××反動タービン
のように2種類の語尾があったことに気づきましたか?
海技士では、「衝動と反動、それぞれのタービンの違いは何か」と聞かれたりもします。
この解説はまた別の記事で!またね!